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2010年度 理事長所信

第60代理事長 西井 裕昭

基本理念

あなたは、どんなまちに住みたいですか?
あなたは、どんな未来を残したいですか?

私たち広島青年会議所は、設立当初より一貫して「明るい豊かな社会」の創造を目的として運動を展開しています。
それでは、私たちの求める「明るい豊かなまち」とは、どんなまちでしょうか?

花や緑があふれるまち
活気があるまち
笑顔があふれるまち
感謝があふれるまち
安らぎを感じられるまち
夢を語りあえるまち
未来への希望を抱いているまち

そうです。これら全てが「明るい豊かなまち」であり、数字で評価するものではなく、一人ひとりの心で感じとるものなのです。そして、私たちの大好きな広島だからこそ「明るい豊かなまち」にしたいと願うのです。
1945年8月、焼け野原となった当時の広島は、家もない、仕事もない、食べるものもない、そんな厳しい時代でした。それでも人々は、「まちの復興は行政の仕事」「行政の対応が遅い」「この生活を何とかしてほしい」と不平を言うこともなく、「この状況を何とかしなければならない」「自分たちで出来ることは自分たちでやろう」「このまちを復興させよう」と自らが立ち上がり、広島のありたい姿を夢に描き、その実現に向かって行動を起こしてきました。そして、広島の未来を考え運動を展開するために自然発生的に集まり組織されたのが、私たちの前身である「廣島青年商工協議会」なのです。実に今から60年前、戦後間もない1950年の出来事です。
その後時代とともに、私たちの活動内容は物質的な豊かさを求める運動から、精神的な豊かさを求める運動へと変化してきました。しかし、活動内容は変化しても人に指を向けることなく、夢の実現のために問題点を見出し、解決方法を考え、自らが率先して行動する青年会議所の精神は、結成から60年経った今も変わらず我々の心の中に宿っています。たった一人の行動が周りの者に勇気を与え、賛同者が一人増え、二人増え、やがて多くの賛同者が共に活動を展開し、大きなうねりへと変わっていく。まさにこれこそが青年会議所運動なのです。そして、「あるべき姿」の実現に向けて全力で行動し続けている姿こそが、「輝いている姿」なのです。

基本方針

1.利他の精神が創り上げる「輝くまち」づくり,2.自立型の「輝くひと」づくり

利他の精神こそ日本の心

戦後の高度成長期は、物質的な充実を図るために大量生産が進められてきました。その結果、大量消費や大量廃棄を誘発し、気がつけば自然が破壊され、物を大切にする心だけでなく、利他の精神さえも薄れてしまったように感じます。
「自分のことを優先するあまり、自然を破壊してしまう」「利益を求めるあまり、人を犠牲にしてしまう」という目先優先の利己主義ではなく、「長期的な視野に立って物事を考える」「地球規模で物事を考え、協力し合う」といった「未来創造型」の利他の精神を持った人々が集うまちこそが「輝いているまち」ではないでしょうか。

他者の家を壊すこと、それはあなた自身の家を壊すことです。
他者の家を直すこと、それはあなた自身の家を直すことです。
優先してください。あなたの仲間、街、国だけでなく、世界全体を。
誠実であってください。あなたの仲間、街、国だけでなく、世界全体に。
見守ってあげてください。あなたの仲間、街、国だけでなく、世界全体を。
教育を受けさせてください。あなたの仲間、街、国だけでなく、世界全体に。
思いやりを与えてください。あなたの仲間、街、国だけでなく、世界全体に。
赦しを与えてください。あなたの仲間、街、国だけでなく、世界全体に。
協力してください。あなたの仲間、街、国だけでなく、世界全体で。
変化はあなたの心からはじまります。
すべての人に愛を。

これは、ノーベル平和賞受賞者であるベティ・ウィリアムズ女史、デズモンド・ムピロ・ツツ大主教、ダライ・ラマ法王をお招きして行われた広島国際平和会議2006共同宣言文の抜粋です。
自分のことだけを考えて行動するのではなく、周囲に与える影響を考え、長期的な視点に立って行動する自立型の人々が集うまちをつくり上げていかなければなりません。私たちには、こうした「あるべき姿」の実現に向けて行動していく責任があるのです。

国際平和文化都市広島の創造

今この瞬間にも、紛争やテロ、飢餓といった悲しい出来事が世界各地で起きています。そのような状況の中、私たちのまち広島は原爆の惨劇から見事に復興を遂げたまちとして世界に希望と勇気を与え続けています。これは、ありたい姿を夢に描き、自らが行動を起こして実現した復興だからこそ、世界に希望と勇気を与えて続けているのではないのでしょうか。
こうした経験をもつ広島だからこそ、子どもから大人までが世界の恒久平和を願い、行動できるまちなのだと思います。これまでも広島青年会議所は、「全ての人がやすらかにやわらぎ、おだやかで変わりのない状態」でいられる「真の平和=ネオピース」の実現に向けて運動を行ってきました。そして、これからも広島を訪れた人々が、広島にいるだけで平和でやすらぎを感じられる国際平和文化都市として相応しいまちをつくり上げていかなければなりません。
家族を、地域を、日本を、そして、世界を愛する「やさしさ」を養い行動する。
平和な世界を築き上げていくための原点は「やさしさ」です。広島には、各活動に「やさしさ」を持って考え、行動する姿を世界に向けて示していく責任があるのです。世界の恒久平和を実現する第一歩は、私たちの心なのです。

地球は私たちの故郷(ふるさと)

戦後、私たちは物質的な豊かさや便利さを追求するあまり、地球環境に大きな影響を及ぼしています。
割り箸ひとつを例にとっても、日本での年間使用量は約250億膳と言われ、そのほとんどは海外から輸入されているのが現状です。しかも、海外の森林を伐採し、それだけの木材を輸入に頼っていながら、日本国内の森林は手入れもされず破壊が進んでいるのです。
また、高度経済成長は人為的な温室効果ガス排出の増大を招き、結果として地球温暖化に繋がっていると言われています。地球温暖化の影響によって、瀬戸内海の水位は上昇し、更には宮島の鳥居、厳島神社の回廊への影響も懸念されています。これらは一例で、地球環境の悪化は確実に私たちの未来を脅かし、広島の文化さえも奪いかねない状況です。広島には、多くの自然が残っています。私たちは、海や山などの自然と触れ合うことで、自然の偉大さや生命の恵みの尊さを学んできました。自然は無限ではありません。「知らなかった」ではなく、私たちの生活が及ぼしている自然への影響に関心を持ち、考え、私たちに出来る行動を起こしていかなければなりません。私たち市民一人ひとりの手によって、子どもたちに美しい地球を残していきましょう。

“人財” を育てる地域づくり

経営とは、想い・方針・理念を掲げ、その実現に向けての道筋を立て、これを実行し、成果を出すことです。 しかし、近年では、想い・方針・理念を追求するのではなく、売上・利益といった数値目標ばかりを追い求めている企業が少なくありません。結果、数値目標を達成するためにノルマ・マニュアル主義が蔓延し、外発要因によって人を動かす要素が増えてきているように感じます。本来経営とは、人々を幸せにし、社会に貢献することが目的です。日本の老舗企業が世界一多いのは、こうした経営を古くより目指してきた成果であると言えるのではないでしょうか。
人々を幸せにし、社会に貢献する企業を実現していくためには、社員一人ひとりが企業の理念に基づいて行動することが求められます。すなわち、外発要因ではなく内発要因によって、社員一人ひとりが自発的に行動することが必要なのです。こうした自立型の社員は、企業にとっての財産であり、つまり“ 人財” となるのです。さらに、この“ 人財” は企業にとっての利益だけではありません。社員一人ひとりは、家庭では父親であり、母親なのです。自立型の社員を育てるということは、家庭において自立型の親を育てるということに繋がり、ひいては自立型の子どもを育てるということに繋がっていくのです。子どもは大人の言う通りに育つのではなく、大人の言動・行動を見て育つのです。
自立型とは、いかなる環境においても、自らの能力と可能性を最大限に発揮して道を切り開く姿勢なのです。言い換えれば、自分自身を経営していくこととも言えるのではないでしょうか。企業だけにとどまらず、学校や行政、地域と共に自立型の“ 人財” を育てていく社会環境を整備することが必要です。

青年会議所は自己成長の場

人が成長するためには、何が必要でしょうか?
「自ら考える」→「自ら発言する」→「自ら行動する」→「自ら反省する」という成長のプロセスを繰り返すことによって、人は成長していくのです。考えているからこそ、気づくことができる。発言するからこそ、自分の考えを整理することができる。行動するからこそ、成果を出すことができる。そして、反省するからこそ、更なるステップアップをすることができるのです。
多様なテーマに対して考えることで、考える幅が広がり、本気で考えている人と話をすることで想いが深まるのです。まさに、本気は本気でしか磨かれない。人は人でしか磨かれないのです。そして、自分を磨くには、自分よりも高い志を持った人と出会うことです。相手の成長を願うならば、自分が成長する姿、輝いている姿を見せてあげることです。
また、成長するためには、失敗をすることも重要であると考えます。誰でも失敗するのは嫌なものです。できれば失敗をしない生き方をしたいと思っていることでしょう。しかし、失敗しない方法はひとつしかありません。それは、何もしないことです。失敗しない人は行動しない人であり、逆に言えば成功しない人であるとも言えるのではないでしょうか。本来、失敗の中に大きな学びがあり、その経験を次に活かすからこそ成功への道が切り開かれるのです。失敗をしない方法を学ぶのではなく、失敗を恐れず行動を起こし、失敗をしてもそこから立ち上がり、その経験を糧にして行動し続けることが必要です。

あなたは、自分が成長するために何をしていますか?
あなたは、自分の成長を自分自身で感じていますか?
あなたは、自分の成長する姿を周りに示していますか?

私たち青年会議所は青年経済人の集まりです。私たち自身が成長しない限り、家族、社員、会社、地域の成長はあり得ません。私たちは、青年会議所運動を通じて自己成長のトレーニングをしているのです。自分自身を磨き、まずは自分自身が輝きましょう。明日の扉を開けるために。

終わりに

【産業の復興特に商工業の復興は政府その他のものから膳立てゝ、奨められるものではなく自主的自治的にかちとるものであり郷土商工業の前進こそ国家経済の基礎であることを確信する。】

これは、私たちの前身である「廣島青年商工協議会」結成趣意書の抜粋です。
私たちの先輩方は、広島の復興のために自ら仲間を集め、会を発足させ、運動を展開してきました。そして広島青年会議所は、60年前から現在に至るまで広島のまちづくりの一翼を担い、広島のリーダーたらんとする“ 人財” を輩出してきました。
創立60周年を迎える今こそ、誇りある広島をつくり上げて頂いた先輩方の熱い想いを今一度感じ取り、今後の運動に活かしていかなければなりません。

暗いと不平を言うよりも、自ら進んで灯りをともしなさい。
誰かがやるだろうということは、誰もしないということを知りなさい。
(マザー・テレサ)

広島を輝かせ、子どもたちの未来を作り上げるのは、紛れもなく私たち一人ひとりの行動です。物事の価値観が大きく変わろうとしている時代だからこそ、今一度自らが「あるべき姿」を見つめ直し、「あるべき姿」の実現に向けて突き進んでいく必要があるのです。人に指を向けるのではなく、自分自身に指を向け、共に考え、共に行動しましょう。輝く広島の未来のために。