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2016年度 理事長所信

第66代 理事長 高見   仁

基本理念

基本方針

① 「つよさ」と「やさしさ」を両輪となすまちづくり・ひとづくり
② 心ひとつに紡ぐ組織運営
③ 心ひとつに挑む全国大会

<はじめに>

   我々は戦後の復興に、広島の精神性を見た。すなわち被爆後、物資困窮のなかでも自らの命を繋ぎ生き抜く気概に「つよさ」を。また自らの生活がままならぬなかでも他者を思いやり分かち合う心に「やさしさ」を。その精神性は今に受け継がれている。時代が移ろい意味合いは変化しつつも、その本質は変わらない。このことは東日本大震災で世界が驚嘆した人々が助け合う姿勢、2014年に広島市を襲った土砂災害に寄せられた多くの支援からも明らかなように、日本人の真の力の源であると言えよう。
   明るい豊かな社会を築き上げようとする時、我々に大切なのは、この「つよさ」と「やさしさ」を意識することではないだろうか。ひとは社会の最小単位である家族をなし、家々が集まりまちとなり、まちは県や地方といった大きな括りとなり、国家をなす。つまり、日本という国家が明るい豊かな社会となり、世界のなかで役割と責任を果たそうとすれば、そこにあるまちは、ひとは、必然的に「つよさ」と「やさしさ」を備えていなければならない。
   そのためには、まず我々が「つよさ」と「やさしさ」を自らの言葉で語り、自らの姿勢で示すことができるようにならなければならない。この一年をかけて向き合う成長の機会で様々な種類の「つよさ」と「やさしさ」に出会うことになるだろう。「つよさ」と「やさしさ」が両輪として調和することの重要性に気付くことだろう。まちづくりとひとづくりに対する多角的な事業や会務運営を通じて「つよさ」と「やさしさ」の本質を追求して行こう。そうした運動や運営から「つよさ」と「やさしさ」を紡ぎ出し、自らの経験として蓄積することで、我々JAYCEEは地域のなかで輝き、地域と心ひとつに歩んで行くことができるのである。

(1) 「つよさ」と「やさしさ」の原石を探る

   ひとが本気で挑戦している時、ただただ自分に厳しい「つよさ」を要求し、周囲は「やさしさ」をもって支援している。まさに、ひととまちが「つよさ」と「やさしさ」を両輪として心ひとつに歩んでいる状態だ。2014年度から広島青年会議所は、こうしたひととまちが明るい豊かな社会へと手を取り合っている事例を広く発信するため、地域と共に情熱をもって行動している若者を顕彰する事業を行ってきた。これからも「つよさ」と「やさしさ」が調和するなかで挑戦を続ける若者を掘り起し、このまちには輝く若者がまだまだ多く存在することを積極的に発信しよう。
   また、そうした若者たちがお互いの情熱輝く行動を知り、それぞれの「つよさ」と「やさしさ」がより強固に紡ぎ合わされる場を設けることや、65年間培われてきた市民からの信頼をもって若者の行動に支援の手を差し伸べることも我々の責務ではないだろうか。社会の厳しさを自身の「つよさ」に変え、社会の包容力に「やさしさ」を感じ、挑戦することを厭わない若者たちと心ひとつに歩んで行こう。

(2)「つよさ」と「やさしさ」の原点を見つめる

   社会の最小単位たる家族において、親は子に自分の足で立つ「つよさ」を教え、他を慮る「やさしさ」の尊さを説く。子は親に「つよさ」と「やさしさ」を感じることで、尊敬の念を抱き、不安なく自らの可能性に挑戦することができる。こうした最小単位の信頼関係は、まさに社会全体の力の源泉となる。
   広島青年会議所はこれまでも親子を対象とした事業や親子関係に焦点を当てた事業を、地域コミュニティを巻き込むという視点をもって行ってきた。地域コミュニティの活性化による周囲の力で子供たちを育てることは今も昔も重要であることは間違いない。そのうえで子供に関わる諸問題を見渡したとき、その根源的な解決は家族そのものに委ねられるのではないか。よりシンプルに親子の在り方を探り学ぶことで、「つよさ」と「やさしさ」の原点をどこまでも見つめ直して行こう。

(3)「つよさ」と「やさしさ」の尊さを伝える

   平和とは2つの種類の状態を示す言葉である。すなわち、戦争の対義語としての平和と、人々が穏やかに暮らしている状態としての平和である。戦争が外交の最終カードであるとすれば、平和の維持は外交にあたる政治家に意志を託す選挙に委ねる他はない。ならば、我々にできる平和を希求する運動とは何か。人々が穏やかに暮らすことのできる尊さを市民とともに分かち合うことではないだろうか。
   我々はこれまでも祈るだけの平和ではなく、創り上げる平和を掲げ、市民と共に運動を展開してきた。我々には、人間のもつ「つよさ」と「やさしさ」によって穏やかな暮らしが守り抜かれていることを伝え続ける使命があるのだ。これは国際平和文化都市広島というまちにある青年会議所にしかできない、いつまでも歩まなければならない道だと考える。

(4)「つよさ」と「やさしさ」の可能性を感じる

   「つよさ」と「やさしさ」を兼ね備えた人々が穏やかに暮らすそのまちには、笑顔が溢れているはずである。広島青年会議所が市民からの信頼を得るに至った過程には、市民を巻き込む形で展開してきた数々のまちの魅力や賑いを創出する事業が大きく貢献している。その代表格が我々の先達が立ち上げに大きく関わった、2016年に40回目を迎えるフラワーフェスティバルである。地域に更なる賑いを創出し、まちの魅力を一層高め、市民とともに笑顔の花を咲かせよう。
   世界最初の核攻撃を受けたまち広島。訪れる人々は、まちが一瞬にして灰燼に帰した事実とともに71年を経て緑豊かな国際平和文化都市として美しく復興を遂げた姿に、そこで穏やかに暮らす人々の笑顔に、人間のもつ「つよさ」と「やさしさ」の揺るぎない可能性を感じるのである。

(5)「つよさ」と「やさしさ」を鍛え上げる

   広島青年会議所のメンバーは、率先して「つよさ」と「やさしさ」を備えていなければならない。そもそもメンバーが備えていないようなものを市民へ伝播することは説得力を欠くからである。その意味で、一年間を通して、「つよさ」とは何か、「やさしさ」とは何かと問い続け、メンバー一人ひとりが「つよさ」と「やさしさ」を体現することができるようにならなければならない。また、メンバーの集合体として広島青年会議所となった場合、個々人の「つよさ」と「やさしさ」が足し算ではなく掛け算で増幅して行かなければ、チームとしての「つよさ」と「やさしさ」は成し遂げられているとは言えない。
   「+」を「×」へと45度回転させる要素は同じ志高き者としての友情と信頼関係である。私たちは広島青年会議所メンバーとして、いつまでも、どこまでも友情と信頼を拠り所として心ひとつに歩んで行こう。

(6)「つよさ」と「やさしさ」を分かち合う

   40歳で卒業しなければならない青年会議所は、新しいメンバーを迎え入れることができなくなると、当然にして縮小して行く。これは単にLOMの規模が小さくなることや運動が縮小することだけを意味しない。むしろ在籍中の青年会議所運動で得た経験と知識と人脈を活かし卒業後に様々な方面で活躍する、地域のリーダーが先細りしてしまうことに問題の核心がある。その意味でメンバーを拡大して行くことは広く地域の未来のために必要なのである。
   様々な個性をもつ者が、共通の理念や目標に対して心ひとつに歩むことで、青年会議所運動はダイナミズムを伴うことができる。すなわち志高く門を叩いた若者たちの個性を損なうことなく研修して行くことは、組織の存続とともに運動の発展のためにいつまでもどこまでも必要である。市民が我々を見る目は、役職や年次に関係なく広島青年会議所のメンバーとして見るのであり、正会員となったその日から、「つよさ」と「やさしさ」に満ち溢れていなければならない。

(7)組織運営を通じて心ひとつに

   青年会議所を特徴づけるものの一つとして、厳格な組織運営がある。この運営方法は様々な場面で適用でき、それを知る私たちが自らの企業や地域から期待されることは少なくない。何のために数々の組織運営上のルールやシステムがあるのか、それらが生み出された歴史を紐解き、理由を腹に落とした上で心ひとつに整然と実行することが重要である。
   本年度は全国大会主管もあり、大会構築段階から多くの青年会議所メンバーが全国から広島を訪れる。私たちの掲げる「つよさ」と「やさしさ」を訪れるメンバーに感じてもらうのは全国大会期間中だけではないはずだ。ひとは期待値を超えた部分に感動を覚えるという。期待値の高い広島であればこそ、それをはるかに超えたスムーズな渉外活動は、広島と心ひとつにしてくれるメンバーを全国に増やす絶好の機会である。
   例会には出席義務がある、ということは誰しも新入会員研修で教えられる。だが、本質的には義務で出席するものではないはずだ。集うメンバーが心ひとつになれるような魅力的な運営を通じ、例会をお互いの刺激と学びの場として一層成熟したものとし、出席できることを誇りに感じよう。また、我々の運動を直接的に発信できるオープン例会も実施し、市民と心ひとつになる機会を設けよう。
   広報活動は各事業・運動の側面支援ではない。我々が社会にとって有益な事業を行っているという誇りがあるならば、そのことを認識し応援してくれる市民を増やし結びつきを強化することは、各事業・運動の価値と広島青年会議所への信頼を一層高めることができるだろう。何のために広報活動を行うのかを問い直し、報道機関との関係やウェブサイトを戦略的に構築し効果的に発信することで、我々と心ひとつに歩んでくれる市民を一人でも多くして行かなければならない。
   我々がJC運動に邁進することができるのは、我々を日頃から支えてもらっている家族のおかげでもある。我々の最も身近な存在に感謝と思いやりを示すとともに、家族ぐるみで交流できる場を設けることは、心ひとつに歩みを進めるうえで、必要不可欠な潤滑油となるだろう。

(8)全国大会を通じて心ひとつに

   「夢が約束に変わった」2013年度全国大会奈良大会での招致決定から大いなる歩みを進めて3年。2016年度広島青年会議所は31年ぶり、全国最多の4度目の全国大会主管という、約束を果たす年を迎える。私自身、日本青年会議所の全国大会運営会議には副議長として出向した経験もあり、全国大会の魅力を体で覚えている一人である。その魅力は対外的なものと対内的なものに大別される。
   対外的な魅力は、主催者である日本青年会議所や地区内ブロック内のLOMとの交わりであり、ご指導ご支援をお願いする諸先輩方との交わりであり、また様々な場面で協力をいただく市民・行政との交わりである。全国大会はその年の青年会議所運動の集大成の場であり、成功へと導くカギは主催者側の全国大会運営会議と主管側の広島青年会議所がいかに良好なパートナーシップを築くことができるか、つまり心ひとつになることができるかに懸っている。主管青年会議所の本気さと熱意に全国大会運営会議はほだされ、真のパートナーとなるのだ。最初はどこか他人事のように広島にやってくる全国大会運営会議が、いつしか自分のまちの大会を構築するかのように意識が変化する過程を目の当たりにして欲しい。それはまさに心ひとつになる過程であり、青年会議所の全国大会という一大事業を経験することでしか味わうことができないものである。また、中国地区協議会と広島ブロック協議会との連携も大会構築には欠かすことができない。全国大会という機会を通じて、日本各地に心ひとつになれる友人を作って欲しい。そして大会開催期間中はもちろん、大会構築にあたる時期も特別会員や大勢の地域市民・広島県・広島市からの協力なくして進むことはできない。全国大会を通じて培った対外的な関係は、大会後に残る大きな財産となるだろう。
   対内的な魅力には一つの解がある。「全国大会を通じてLOMに残るもの。それはメンバーである」。つまり、大会構築に向けての大変な努力、実際の開催時に問われる勇気と判断力、やり遂げた時の確かな自信。全国大会に関わる要素のすべてが主管LOMメンバーを鍛え上げ、大会後の青年会議所運動に資するのである。私は信じている。心ひとつに全国大会を歩み切り、「つよさ」と「やさしさ」を纏ったメンバーがその後大きく飛躍する姿を。

<おわりに>

   戦国時代末期、毛利輝元が太田川下流の三角州に城を築いたのが広島の始まりである。輝元の祖父である毛利元就は中国地方の覇者として智将の名をほしいままにした。その元就が吉田郡山城を拡張する際に、人柱の代わりとして埋めたのが「百万一心」と彫り込められた石碑であるという。元就の、人柱などという迷信を信じない決然たる「つよさ」と、心ひとつに歩む者たちへの限りない「やさしさ」を示す故事である。「百万一心」は書を崩せば「一日、一力、一心」と読むことができ、「日を同じうにし、力を同じうにし、心を同じうにする」という意味になる。今の広島青年会議所に当てはまるよう解釈すれば、「幸運にもこの時代この瞬間に青年会議所運動に携わることのできる日々を喜び、青年としての英知と勇気と情熱のもとに力を合わせ、心ひとつに私たちのなすべき道をいつまでもどこまでも歩んで行く」ということになろうか。
   一年間の運動を通じて、「つよさ」とは何か「やさしさ」とは何かを問い、それを自らのものとしたメンバーが心ひとつに相集うことで、「百万一心」の精神は団結として形を成す。固い団結を誇る青年会議所への社会からの期待は間違いなく大きいものであり、今後もその価値と可能性が揺るぎないものであることを信じている。

ここに広島青年会議所の前身である廣島青年商工協議會の結成趣意書をあらためて紐解く。


「広く同憂の商工青年の参加を求め密接なる連絡と固い団結のもと、
其の熱意と智力を傾注して着実真摯な実践運動を展開し
                        郷土の商工業の復興発展を期するものとする。」


時代は変われど、創始の精神は今に続く。
66年目の覚悟をもって、今ここに団結しよう。
さあ、見たことのない世界へ、行ったことのないステージへ。
心ひとつに道を歩む。いつまでも、どこまでも。