理事長所信BELIEF
一般社団法人広島青年会議所のホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
平素より当青年会議所に格別なるご支援とご協力賜り、厚く御礼申し上げます。
2025年度の広島青年会議所は、以下の理念、方針にて活動を展開して参ります。
基本理念
基本方針
- 1高みを貪欲に目指すひとづくり
- 2圧倒的な国際知名度を活かしたまちづくり
- 3愛・規律・学び溢れる組織づくり
はじめに
広島青年会議所は、未来の広島を牽引するトップリーダーの育成機関である。
「失われた40年」と言われるように、この国は長きに渡り大きな進展を生み出すことができず、過去の栄光は影を潜め、他国の勢いに飲み込まれつつあります。私たちの住み暮らす広島において、その状況は特に深刻です。古くは第二中核都市として列挙された「札・仙・広・福」の一角でしたが、現在では他の3都市と大きく差を付けられています。また、絶対的な中四国の雄と言われていたものの、その立ち位置を脅かされつつあります。さらに、広島県は2021年より連続して最も転出超過している都道府県となり、この傾向に収まる気配が見られていません。
また、私たちの軸足である企業を取り巻く環境に目を向けると、VUCAと呼ばれるほど変化が早く不透明であり、今後20年間で広島県の生産年齢人口(15~64歳の人口)が21.8%減少することから、企業存続さえも当たり前ではない状況が到来してきています。このような困難な時代を先頭に立って戦わなければならないのが、会員一人ひとりの置かれている立場です。
私たちは、会社の未来を牽引するトップリーダーとして成長するために、広島青年会議所に入会しているはずです。私たちは、覚悟を決め、大きく成長していくしかないからこそ、広島青年会議所が、トップリーダーの育成機関であり続けることに、私はこだわります。
そこで、明治初期、日本近代経済の父と称された渋沢栄一氏が説いたトップリーダーとしての教え【士魂商才】を2025年度の基本理念として掲げます。【士魂】とは、古き良き日本人としての精神性を示し、他者への深い思いやりや、道徳、礼儀を重んじる姿勢、自らを磨き続ける姿勢を意味します。一方、【商才】とは、ビジネスにおける知識やスキルはもちろん、考え、話し、聴き、行動する力を指し、それらを磨き発揮することを意味します。トップリーダーには真の仲間を増やすためにこの両輪が必要です。
私たちは、一人ひとりの力は微力でしかありません。だからこそ、様々な方と手を組み、力や勇気をもらい、自身だけでは実現できないことに挑戦することができるのです。しかし、誰もが差し出した手を握ってくれるわけではありません。そこで必要となるのが、士魂商才です。士魂で相手の心を動かし、商才で納得感を得る。感情と論理。この両輪が揃って初めて、私たちの想いに共鳴し、真の仲間となってくれるのです。
当会の活動において求められる思考や行動などは、社業においてもその多くを活かすことができます。当会での経験を経て、感情と論理で人を動かす力を磨き、トップリーダーとしての価値を高めていきましょう。士魂商才を身につけたあなたは、周囲からの信頼を得て活動を支援する仲間を増やし、私たちの影響力を強める存在となるでしょう。それにより、私たちの活動が地域からますます求められる団体となっていくはずです。
高みを貪欲に目指すひとづくり
人は目標とした到達点以上のところには届かない。人は、一見無茶な目標設定に思えても、その目標を本気で志せば、高い地点までの道のりを真剣に考え、行動することができる。目標設定の価値はそこにあり、設定する目標の高さにより、日々の成長度合いが変化します。私たちは、多くの人に輝かしい未来を見せるトップリーダーを志す集団です。であるならば、迷わず1番を目指しましょう。一人で目指す必要はありません。多くの人と手を取り合い、ともに目指し挑戦していくプロセスに価値があります。ですが、高い目標を達成した時にしか味わえない別格の価値が存在するのも事実です。ともに1番を目指し、達成する。この経験を味わった人は、さらなる高みを目指し続け、同じく高みを目指す挑戦者をこのまちに引き寄せていくでしょう。
とはいえども、高みを目指し続けることは簡単なことではありません。しかし、日本古来には、道義を守り、自身を律し、鍛錬を積み重ね、高みを目指し続けた人たちがいます。その代表格が士です。現代と戦場は異なれども、私たちは彼らの価値観である「道」から多くを学ぶことができます。古き良き日本人としての精神性を深く理解、体感することで、高みを貪欲に目指すための大きな教訓を得られるでしょう。高みに向けて挑戦する市民が増えていったまちは、どのような状況下においても、常に進化し続けるまちとなるはずです。
圧倒的な国際知名度を活かしたまちづくり
生産年齢人口の減少により内需の低迷が予測される中、外貨をいかに継続的に稼ぐかはまちの発展に向けた重要な要素です。世界有数の国際知名度を誇る広島には、G7広島サミットや未曾有の円安などの追い風もあり、コロナ禍前を越える海外観光客がいらしています。ですが、海外の人たちを受け入れる市民が「国際」の意識をどれだけ持ち、行動できているでしょうか。ここに、国際平和文化都市としてのさらなる成長の可能性を感じています。
現在のインバウンド数の好調を継続的なものにできるかにおいて、今が大きな分岐点です。なぜなら、広島へ来た方が自国へ戻り、どのような体験や感想を周囲に伝えるかが、広島訪問の波を継続できるか否かの重要な鍵となっているからです。だからこそ、市民が一丸となり、受け入れる側の在り方や、観光客の求めている事などを深く考察・設計し、仕掛けていくことが必要でしょう。この運動が広島のファンを世界中に増やす一歩となり、中長期的なまちの発展へと繋がっていくでしょう。
インバウンドだけではありません。真のボーダレス化が進む現在において、世界を肌で感じ国際感覚を養うことは、自信や挑戦意識などの醸成に繋がり、一人ひとりの将来の可能性を拡げていくための非常に重要な要素となっています。また、文化・価値観が異なるものに触れることで、自分たちの周りに当たり前のように存在しているまちの姿に対し、その素晴らしさ、至らなさを痛感し、再評価することができるはずです。その経験を通して抱く問題意識が、人を新たな行動に突き動かす原動力となり、新たな潮流を生み出すことになります。変化が求められるこれからの時代において、そのような意識を持った市民を一人でも増やしていくことが、まちの発展に欠かせない要素であると言えるでしょう。
広島に住み暮らす私たちには、世界から平和の発信者という役割が託されていることを忘れてはいけません。核の惨禍より80年が経過し、平和が当たり前になった広島。その一方で、ロシア・ウクライナ、イスラエル・パレスチナなど現在進行系で、世界各地で戦争や内戦が生じています。かつての広島に住み暮らしていた人びとがそうであったように、彼らは明日どうなるか分からない状況の中で、心の底から切に平和を求めているのは間違いありません。今こそ、広島という平和の象徴の地で、世界中を巻き込み、世の中をほんの僅かでも好転させていこうとする運動が求められているのではないでしょうか。国家間での争いはあれども、私たち青年世代だからこそ、その障壁を越えて成せることがあるはずです。私たちの運動で、広島のまちを、世界を動かしていきましょう。
愛・規律・学び溢れる組織づくり
私たちの活動の礎となるもの、それは組織文化です。たしかに、時代の変化に合わせて柔軟に変えていくべき点もあるでしょう。しかし、忘れてはならないのは、広島青年会議所が、トップリーダーの育成機関であるということです。私たちには、自らの会社において大きな責任を抱き、どのような状況下でも逃げずに戦い抜く強さが求められています。そのような会員を育てる最後の学び舎だからこそ、厳しさが不可欠です。
人は、自分の限界を超える負荷をかけたときに初めて、その上限を引き上げることができます。これこそが成長です。しかし、人は自分に甘いため、独力で高い負荷をかけ続けることは困難です。だからこそ、厳しさを持ちながら支えてくれる仲間の存在が欠かせません。ただ、厳しさだけでは人は長く努力を続けられないでしょう。相手の成長を本気で願う愛情があってこそ、人の心を動かすことができるのです。75周年という節目を迎えるからこそ、今までの素晴らしき伝統を整理しつつ、現状を踏まえ、やり方よりも在り方にこだわりながら、未来へと紡いでいきましょう。
しかし、どれほど素晴らしい活動を行っていたとしても、伝わらなければ意味がありません。私たち広島青年会議所の取り組みや考えを、見ている人が求めている形で適切に発信する。また、彼らが求めているものに合わせてコンテンツを拡充していくことも重要です。自分本位な発信から脱却し、相手本位のコンテンツ作りを実現することが、現役会員と特別会員を、そしてまちの仲間たちとの団結力を高めることに繋がっていくはずです。
おわりに
人の本気だけが、人を動かす
本年度は士魂商才、感情と論理で人を動かしていけるよう、一人ひとりが様々なことを意識し、学び、経験していって欲しいと思っています。そのうえで、人を動かすための最後の鍵が、私たちの「本気」であることを忘れてはいけません。
皆さんも誰かの本気の姿を見て心動かされ、何かできないか!と思ったことがあるのではないでしょうか。人は、中途半端に向き合えば、愚痴や言い訳しか出てきません。一方で、本気で向き合えば、知恵が出て、大抵のことは乗り越えられるはずです。そして本気で向き合うから、どんなことでも面白さを感じられるのだと思っています。
しかし、本気になることはそう簡単ではありません。だからこそ、仲間の存在が非常に重要です。ともに刺激し合い、ぶつかり合い、支え合いながら、ともに苦難に立ち向かっていく。そのような仲間がいるからこそ、徐々にでも、本気で取り組むことができるようになると私は信じています。そのような仲間を大切にし、あなた自身も周りを本気にさせる仲間となって欲しいと思います。
私たちが士魂商才を磨き、広島のまちやひとをより良くしていこうと本気で考動できる集団となれたとき、どんな困難な課題でも多くの仲間とともに、楽しみながら打開できる団体となるはずです。
仲間とともに本気で取り組み、成し遂げていく。
同じ1年間を過ごすならば、この挑戦を最高の成長の機会と捉え、楽しんでいきましょう!